36年ぶりの視聴!日立ドラマスペシャル「獅子のごとく」

「獅子のごとく」

私が中学1年生の夏に観た「獅子のごとく」が実に36年ぶりに視聴できる事となりました―

この「獅子のごとく」は、昭和53年(1978)8月21日にTBS系列で放送された3時間テレビドラマで日立スペシャル 第3弾、明治の文豪・森鷗外を主人公とした作品です。

ドラマの趣旨としては―

明治文学の巨匠・森鷗外の愛と戦いの日々をダイナミックに描いた「獅子のごとく」。制作費1億円、制作日数45日。昭和53年(1978)にして日本のテレビドラマ史上初の東西ベルリンロケを敢行!東ドイツ政府の協力を得て、7日間の東西ドイツロケを実現。制作スタッフ5人で200㎞、14個もある機材を抱え徒歩でベルリンの壁を超えるという壮絶な制作過程を経て制作された渾身作。

森鷗外を演じたのは、江守徹さん。ナウマン論争やエリスとの恋愛シーンをドイツ語で熱演し話題となった。その鷗外の恋人エリスには西ドイツのミス・ティーンが起用。その他にも36人にも及ぶドイツ俳優人が出演するなど多くの話題を提供した。

物語は、鷗外『舞姫』の恋人エリスへの愛と、乃木希典との深い結び付きを軸に、西洋と日本、新と旧、近代思想と古武士的理論、東西文化のせめぎ合いの中で、愛を求め、精神の自由を追い求めた鷗外の苦悩を描いていく―
といったもの。主なあらすじは、

御典医の家に生まれた林太郎(のちの鷗外)(江守徹さん)は、母・峰子(小山明子さん)、祖母・清子(原泉さん)の厳しい教育を受けた。12歳で東京大学医学部に入学する程の秀才だった林太郎(鷗外)は、卒業と共に陸軍省に入った。

23歳の春、林太郎(鷗外)はドイツに留学が決まった。国家と家の期待を荷って、勇敢ドイツに赴いた。ドイツでの4年間は、光に満ちていた。ドイツ人女性・エリスと激しい恋をし、ナウマンと東西文明論を戦わした。ベルリンでは、政府の命によりドイツ留学中の少将・乃木希典(米倉斉加年さん)と出会う。鷗外は乃木に、不思議に心惹かれるものを感じ、2人の交際は乃木の死まで続いた。

明治21年、林太郎(鷗外)が帰国後、ドイツからエリスが追ってきた。周りの強い反対もあり、林太郎(鷗外)は結婚をあきらめざるを得なかった。2年後、林太郎(鷗外)は小説『舞姫』に、その激情を吐露した。その頃、林太郎(鷗外)は母・峰子の強い勧めで、結婚をしたが長くは続かなかった。

1度目の結婚に失敗した林太郎(鷗外)は、茂子(十朱幸代さん)と再婚する。

日露戦争の勃発と共に、陸軍第二軍医部長として従軍した。家では妻・茂子と母・峰子の確執があり、公私共に戦いの日々が続いた。

やがて帰還した林太郎(鷗外)は、若き歌人たち、与謝野晶子(浅茅陽子さん)や石川啄木(国広富之さん)と付き合いはじめる…

となっています。主な配役は、
  • 森林太郎(鷗外)=(少年期)前田晃一くん→(壮年期)江守徹さん

  • 後妻・茂子(しげ・志げ)=十朱幸代さん
  • 娘・茉莉(茂子との間の子・長女)=岸本加世子さん

  • 祖母・清子=原泉
  • 父・静泰(静男)=織本順吉さん
  • 母・峰子=小山明子さん
  • 妹・喜美子(小金井喜美子)=竹下景子さん
  • 弟・篤次郎(三木竹二)=三ツ木清隆さん

  • 賀古かこ鶴所つると=緒形拳さん
    →陸軍軍医、日本に耳鼻咽喉科学をもたらした人物でもある。鷗外の生涯の友として、その臨終を看取り、遺言である「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス…(中略)…墓ハ森林太郎墓ノ外一字モホル可ラス」を聞書きした。

  • 乃木希典=(青年期)田中健さん→(壮年期)米倉斉加年さん
  • 乃木静子=南風洋子さん
    →乃木希典夫妻の殉死する日の様子がこと細かに描かれています

  • 石黒忠悳ただのり=成田三樹夫さん
    …陸軍軍医本部次長=軍医時代の鷗外の上司
  • 山県有朋=丹波哲郎さん
    →中間管理職の悲哀というか、頂点に立つ“長州閥”の壁に鷗外が苦虫を噛む感じが現れるような配役陣ですね(笑)!

  • 石川啄木=国広富之さん
  • 与謝野晶子=浅茅陽子さん

  • エリス=ペギィ・ベルラッティさん
    『舞姫』のモデル
の皆さんです。

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主題歌は大橋純子さんが唄った♪たそがれマイ・ラブ♪でした。その歌詞をピックアップします―

♪今は夏 そばにあなたの匂い
 しあわせな夢に おぼれていたけれど
 夕立ちが 白い稲妻つれて
 悲しみ色の 日ぐれにしていった
 しびれた指 すべり落ちた
 珈琲カップ 砕け散って
 私はただ あなたの目を
 言葉もなく 見つめるだけ
*さだめという いたずらに
 ひきさかれそうな この愛

 今は冬 そばにあなたはいない
 石畳白く 粉雪が舞い踊る
 ひきさかれ 愛はかけらになって
 それでも胸で 熱さをなくさない
 凍える手で ひろげて読む
 手紙の文字が 赤く燃えて
 私はもう あなたの背に
 もたれかかる 夢を見てる
* リピート

作詞は阿久悠氏ですが、詞全体から『舞姫』のエリスの想いが感じ取れますよね!まさに「獅子のごとく」というこの作品にマッチした主題歌だと思います。

『舞姫』は明治23年(1890)に発表された作品で、ドイツ留学体験を下敷きにしていて、作中の登場人物の相澤謙吉は賀古鶴所、天方伯爵は山県有朋がモデルと言われています。

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※(参照)日立ドラマスペシャル「熱い嵐」
※(参照)待ちに待った「風が燃えた」、33年ぶりの再放送!

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