さて、3月期のNHK教育テレビの「歴史は眠らない」シリーズは「海がつないだニッポン」(全4回)だそうです。
聴講するにおいて―
海洋国家・ニッポン。四方を海に囲まれたこの国では、古来、海に生きた人々のエネルギーあふれる活動が時代を動かしてきた。中世、対馬では、倭寇や宗氏が貿易の担い手となって隣国との関係の鍵を握り、戦国時代には瀬戸内の水軍が強大な軍事力として天下統一の行方を左右した。鎖国下においても廻船商人たちが国内通商の大動脈として徳川幕府に繁栄をもたらし、世界に開かれてからは海運会社が外洋航路を切り開いて貿易立国の原動力となった。だが、現代の日本人の意識は海から遠ざかっている。海は国家間が主権を争って線引きする場となり、他国を隔てる“壁”という閉ざされたイメージがつきまとう。番組では、歴史上の海に生きた人々に改めて光を当てることで、人々や社会をつなぐ道としての海の役割に目を向けるというテーマに絞って観るといいですね!その概要は以下の通り―
◎【NHK教育 歴史は眠らない 「海がつないだニッポン】
○毎週火曜日午後10:25~10:50(再放送は翌週の火曜日午前05:35~06:00)
- 第1回 中世の“境界の民”
- 第2回 海賊大将、戦国の海を駆ける
- 第3回 江戸時代の海運革命
- 第4回 そして世界の海へ
朝鮮半島までおよそ50kmに位置する"国境の島"、対馬。14世紀以降、この地に生まれた2種類の"境界の民"が、日本と朝鮮半島をつなぐ役割を果たした。ひとつは、海賊集団「倭寇(前期倭寇)」、もうひとつは、対馬島主「宗氏」の一族である。1350年頃、南北朝の内乱で九州との交易路が絶たれた対馬では、海の民の一部が島内では自給できない米を求めて海賊行為を行い、「倭寇」と呼ばれるようになる。しかし、陸の政権の安定と共に再び広い海の世界に乗り出し、貿易商としての側面を強めていく。一方、対馬島主「宗氏」は、朝鮮への渡航認可書「文引 」の発給権を得ることで島内の倭寇たちを統制し、巧みな外交交渉で両国の調整役としての顔を持つようになっていく。倭寇と宗氏によって東アジア世界がつながり、一大交易圏が発展していく経緯を描く
→3月8日(火)午後10:25~10:50(再放送:3月15日=火=午前05:35~06:00)
戦国時代に入ると、海の民たちは海上軍事力「水軍」として再編成されていく。京の都と外海を結ぶ一大流通路であった瀬戸内海では、組織的な軍事力と巧みな経済制度を武器に、「村上水軍」が海上権益を握り、独立した海の一大勢力に成長。戦国の乱世の中、「厳島合戦(1555)」を始めとする歴史に残る海戦に次々と勝利し、その名を天下に轟かすことになる。しかし、織田・豊臣という強大な統一政権とぶつかる中で、次第にその自立性を奪われていくことになった。自立して生きた海の民が、軍事力として陸に組み込まれ、解体されゆく経緯を追うことで、海の歴史の一大転換点を見つめる
→3月15日(火)午後10:25~10:50(再放送:3月22日=火=午前05:35~06:00)
江戸時代、海は国内通商の主要ルートとして飛躍的な発展をとげ、商品経済の成長に寄与して徳川幕府の繁栄の屋台骨となる。その立役者が、13歳で江戸に出て材木屋で財を蓄えた立志伝中の人物・河村瑞賢だ。瑞賢は、1671年、奥州から江戸への米の輸送に利根川を使わず、直接江戸湾に入るという新たな航路「東廻り航路」を開拓。翌年には、出羽酒田から日本海沿岸を回り、瀬戸内海・遠州灘を経て江戸に入る「西廻り航路」を開き、輸送に要する時間と費用を大幅に軽減することに成功。また、途中の寄港地を定めて灯台や水先案内船の設置も行うことで海運の発展に尽力した。海の廻船ルートの整備によって安定した繁栄がもたらされ、近海が国内通商の大動脈へと役割転換した時代を見る
→3月22日(火)午後10:25~10:50(再放送:3月29日=火=午前05:35~06:00)
明治維新を経て、外海に開かれた日本。欧米の海運業者に通商ルートを握られていたこの時代に、“海上王”の異名をとった男がいる。坂本龍馬の世界貿易への夢を継ぎ、海運業から三菱財閥を築き上げた岩崎弥太郎だ。弥太郎は持ち前の剛腕で政府の後ろ盾を得て、海外業者から国内海運業の利権をわずか3年で取り戻し、さらに日本初の外国定期航路・上海航路を開設するにいたる。その後、三菱の覇権に異を唱える渋沢栄一らの「共同運輸」と熾烈な闘いが繰り広げられたが、弥太郎の病没を機に両者は合併。後に世界第2位の海運会社となる「日本郵船」が誕生する。弥太郎の遺志を継いだ日本郵船は、綿花を輸入するインド航路を開拓し、資源に乏しい島国がモノづくりの技術で勝負するための土台を形作った。現代につながる貿易立国の原点を明治維新期に探るといった内容で、講師として村井章介・東京大学教授に教わります。
この記事へのコメント