「日本のシンドラー杉原千畝物語・六千人の命のビザ」

日本のシンドラー杉原千畝物語・六千人の命のビザ

日本の外交官・杉原千畝ちうねを扱ったドラマ「日本のシンドラー杉原千畝物語・六千人の命のビザ」がありました。

舞台は第二次世界大戦の最中ののヨーロッパのリトアニア。杉原千畝はリトアニアの日本領事館代理として赴任していました。

ナチス・ドイツによるポーランド侵攻に端を発し、ユダヤ人は次々と迫害を受けます。また同じ時期、ソ連がリトアニアに侵攻し、リトアニアは併合されてしまい、日本領事館は閉鎖されることになっていました。

そんな折、ポーランドから逃れてきたユダヤ人難民が日本領事館に押し寄せ、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため、日本の通過ビザの発給を求めてきます。

杉原千畝は外務省に再三に渡ってユダヤ難民にビザを発給する許可が欲しいと電報を打ちますが、外務省は親独派が実権を握っており、ビザは出せないという最終通告が届きます。

退去期限が1か月に迫った時、杉原千畝は外務省の命令に背く事を決意し、ユダヤ難民たちにビザの発給を行います―

ユダヤ人難民たちにとって、杉原千畝はかけがえのない命の恩人と今も語り告げれています。

杉原千畝(反町隆史さん)が領事館を退去させられた後も滞在するホテル、そしてまさにリトアニアから離れようとする列車の出発時間ギリギリまで、ビザを発給し続けたシーンを観て涙!

そうして助かって生き延びられたユダヤ人難民の1人、ニシュリ氏が“命の恩人”「SENPO」(千畝=ちうね=の音読み)を探し続け、感謝の気持ちを伝えたシーンにも涙!

久々に秀作なドラマですね。杉原千畝の事は僕もそんなに知らなかったのが事実です。日本はこういう人物に関しては賛美を送らなかったのも一因の1つだったのかもしれません。

そういう面はドラマの中で描かれた外務官僚たちの姿でイメージできましたね。杉原千畝は戦後、不当な理由で解雇され、その偉業や名誉が回復されるまで50数年も経たねばなりませんでした。それも、外務官僚たちが自らの気持ちで心の底からそう思ったのではなく、イスラエルをはじめ、世界各国が賛美するから―といった後付けの要因から行われた出来事でした。(そういう意味では、今現在の外務省官僚の姿もこの時代とそんなに変わってはいないのかもしれませんね!)

さらに言えば、“日本のシンドラー”というネーミングにも多少問題があるかもしれませんね。これは映画「シンドラーのリスト」から来てるネーミングであって、まず先に「シンドラー」が存在していること、さらには「日本の~」という表現だけで、本当に杉原千畝を賛美しているのかどうかの度合いが測れる気もします。(日本人は何においてもそういう感じなので僕は辟易する毎日です 悲)

日本人っていつもそうなんですが、戦前の国際連盟で事務総長にもなった新渡戸稲造(旧五千円札の図柄になった人ですよ)やその他世界で名を馳せた人物への賛美があまりにも薄い!悲しいことです。

日本人だけが知ってる日本人の偉人たちを理解するよりも、世界各国の人たちが知っている日本人の偉人たちを知ることこそ一番有意義なのでは?…

この記事へのコメント

  • 御堂

    しゃばやんさん、情報有難うございます!

    樋口季一郎氏―名前は知っていましたが、具体的な経歴や業績については、収集不足でしたので、しばやんさんのご指摘にホント感謝します!

    ブログで紹介されていた新書も読破しなきゃ!
    2012年08月25日 20:29
  • しばやん

    御堂さん、こんばんは。

    昭和天皇の「終戦の詔勅」のあとで、千島列島最北端にある占守島でソ連との激戦がありましたが、その自衛の戦いを決意したのは第五方面軍司令部の樋口季一郎中将です。その樋口のことを調べていると、ハルピンに勤務していたころに、独断で多くのユダヤ人を救っていたことを知りました。

    樋口がユダヤ人を救ったのは、杉原千畝の2年以上前の話ですが、これもなかなかいい話です。よかったら覗いて見てください。
    http://blog.zaq.ne.jp/shibayan/article/212/
    2012年08月25日 19:31
  • 御堂

    なかいちごさん、こんばんは!
    杉原千畝氏については、日本よりも海外(とくにユダヤ系民族の間で)で広く知れ渡っている人物です。意外と日本人って、日本の中での日本の歴史にしか興味がない人が大多数で、杉原氏のようなうずもれた偉人さんには目もくれません。
    英語の暗唱弁論大会でのスピーチでも、ただ単に杉原の業績を淡々と語るのではなく、「杉原氏はこんな気持ちで行動したんじゃないのんかな?」って思いを込めてスピーチしてくれると嬉しいな!健闘を祈ります!!
    2012年08月09日 21:18
  • なかいちご

    私は中学3年生です。
    英語の暗唱弁論大会に出ることになり、その題名が「6千人のビザ」という杉原千畝のお話に決まりました。
    しかし、杉原についての知識が浅く、拝見させて頂きました。とても解り易く、為になりました。
    どうもありがとうございました!!
    2012年08月08日 18:42

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