大久保利通の印象!


NHK「その時歴史が動いた」の「大久保利通・新生日本を救う~回避された『幻の日清戦争』~」を観ました。

内容は征台の役(台湾出兵事件)に関して日本と清国が一速即発な状況で、大久保利通内務卿が苦心した様子が描かれていました。

僕は根っからの大久保シンパで大の西郷嫌いなので、また新しく大久保の良き評価が生まれた印象深い番組でした。

清国側は古代から延々と根づいていた“中華思想”での物の見方、日本は近代的な万国公法に則った物の見方の違いからくるすれ違い様相は周知の事実です。

明治維新直後、「西洋列強の仲間入り」か「極東の番兵」かのどちらかに進路をとるべきかの選択肢がありましたが、結局、日本は万国公法に基づく国際社会に参加しなければ仲間はずれにされっぱなしの状況(治外法権や関税自主権の喪失)が続いていました。

これらを撤廃するには西洋列強に仲間入りするしか選択肢がなかったのは現実でした。

そうした西洋列強のやり方=帝国主義的侵略方法とは、戦争に勝利して莫大な賠償金を手に入れるというパターンがあります。(時代が後になりますが、第一次世界大戦の戦後処理におけるフランス政府のドイツへの莫大な賠償金請求のような意地汚さは特に有名です。これが元でドイツは復興に時間がかかるし、別な意味、この事がナチス・ドイツを生んだとも言えますからね。これと対照的なのがアメリカで、アメリカは賠償金を元手に奨学金制度を創設しています。まるで幕末の越後長岡藩に見られた“米百俵”エピソードって感じですよね…)

番組の最後の部分で、大久保の賠償金に関する考え方を

(賠償金を)将来どの様に使うかは、日本の『名誉』に関係する事なので、一部は被害者と戦病死した出兵兵士および功労者に使用するが、残りは清国へ『謝却』すべきである

と言っています。

つまり、賠償金の返却は、西洋列強がいまだかつてしたことがない例であり、「『剣』(=軍事力)で敵国を『退治』(=侵略)するよりも、この大断により、日本の『盛名』(=名声)は輝」くだろうと大久保は語っているのです。

この考え方の中には帝国主義思想は全くありません。大久保がもう少し生き永らえていたら、日本の進路はまた違ったものになっていたでしょうね。

この記事へのコメント

  • 御堂

    五味佳大さん、当ブログへの来訪&コメント、ありがとうございます。お言葉、励みになりますm(_ _)m
    2016年10月14日 19:35
  • 五味佳大

    よかったです
    2016年10月13日 14:11

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