NHK大河ドラマ「黄金の日日」の完全版DVD-BOXが発売されました。
懐かしい作品です。この作品は昭和53年(1978)1月から12月にかけて全51話放送されたNHK大河ドラマ第16作目にあたります。
原作は城山三郎氏ですね。主役は呂宋(納屋)助左衛門で市川染五郎(現、松本幸四郎)さんが演じられました。
あと杉谷善住坊(“拓ぼん”川谷拓三さん)や石川五右衛門(根津甚八さん)の人気も凄かったのを記憶してます。主だった配役陣は次のような方々です―
- 納屋助左衛門=市川染五郎(現、松本幸四郎)さん
- 美緒=栗原小巻さん…今井兼久の妻
- 石川五右衛門=根津甚八さん
- 杉谷善住坊=川谷拓三さん
- 宗久の妾、しま/宗久としまの娘、桔梗=竹下景子さん
会合 衆、信長の茶頭 、今井宗久=丹波哲郎さん- 宗久の子、兼久(のち宗薫)=林隆三さん
→林隆三さんは「利家とまつ」(平成14年=2002)では宗久を演じられています - 梢=名取裕子さん…徳川方・服部半蔵の間者、小太郎の実母
- 兼久の子、小太郎(のち兼隆、宗呑)=江藤潤さん
- 会合衆、信長・秀吉の茶頭、千宗易(利休)=鶴田浩二さん
- 会合衆、小西隆佐(ジョウチン)=宇野重吉さん…小西弥九郎(行長)の父
- 会合衆、信長・秀吉の茶頭、(天王寺屋)津田宗及=津川雅彦さん
- 会合衆、能登屋平久=志村喬さん
- 会合衆、日比屋了慶(ディオゴ)=渥美国泰さん…モニカの父
- 信長・秀吉の茶頭、のち後北条氏の茶道、山上宗二=清水綋治さん
- お仙=李礼仙さん
- 日比屋了慶の娘、笛(モニカ)=夏目雅子さん
- 才蔵=花沢徳衛さん…貨物船「琉球丸」の船長
- 助左の父、高砂甚兵衛、海賊の頭=松本幸四郎(松本白鸚)さん
- 銭丸=前田晃一さん
- 彦助=岸部一徳さん
- 末蔵=小松方正さん
- しの=増子志津江さん
- 一観=三国一朗 さん
- ルソン島のトンド族の族長、ラカンドーラ=ビック・バルガスさん
- ラカンドーラの娘、マリキット=プリンセス・アキノさん→ジーナ・アラハールさん
- マリキットの夫、ハギビス=ロベルト・アレバロさん
- マリキットの侍女、ノーラ=セリー・デ・カステロさん
- フィリピン人、ツル=安奈淳さん
- 木下藤吉郎/羽柴秀吉/豊臣秀吉=緒形拳さん
- 北政所(ねね)=十朱幸代さん
- 淀君=藤村志保さん
- 石田佐吉(三成)=近藤正臣
- 小西弥九郎(行長、アウグスティヌス)=小野寺昭さん
- 高山重友(右近、ジュスト)=鹿賀丈史さん
- 三次秀次(豊臣秀次)=桜木(櫻木)健一さん
- 宗義智(ダリオ)=河原崎長一郎
- 加藤清正=綿引洪(勝彦)さん
- 福島正則=加藤正之さん
- 蜂須賀小六=室田日出男さん
- 浅野長政=辻萬長さん
- 増田長盛=金内吉男さん
- 石田正澄(三成の兄)=内田稔さん
- 安国寺恵瓊=神山繁さん
→神山さんはTBS時代劇「関ヶ原」(昭和53年=1978)でも演じられている - 織田信長=高橋幸治さん
- お市の方=小林かおりさん
- 明智光秀=内藤武敏さん
- 細川ガラシャ(玉)=島田陽子(楊子)さん
- 足利義昭=松橋登さん
- 細川藤孝=加藤精三さん
- 細川忠興=柴田侊彦さん
- 吉川経家=浜畑賢吉さん
- 徳川家康=児玉清さん
- イエズス会宣教師、ルイス・フロイス=アロイジオ・カンガスさん
- イエズス会宣教師、ガスパル・ヴィレラ=ミシェル・マサポさん
- イエズス会宣教師、グネッキ・ソルディ・オルガンティノ=ジェームズ・ゴードンさん
- 長崎の豪商、原田喜右衛門=唐十郎さん
この作品は、放送当時はほぼ書き下ろしに近かったようで、放送での最終回において助左衛門が活躍の場としていた堺の町が炎上し、助左衛門は、助左衛門に賛同する町の民衆たちを引き連れて船でルソン(呂宋)に旅立っていくのですが、それは関ヶ原の合戦で敗れた西軍側の落武者たちを堺の町が匿ったり、逃亡に手助けをした事を徳川方に責められての末の出来事でした。ニュアンス的には中世の自由都市・堺が近世という枠の中に閉じ込められていくのを拒絶して、堺の都市=そこに生活している民衆たち=を連れ立って新天地に向かって旅立つ!というのがエピローグでのメッセージだったように思います。
史実では、堺の町が壊滅的な炎上をするのは大坂夏の陣での豊臣方の乱入によるものなんですが、のちに文庫版を読んだ時にはちゃんとそのように描かれていました。各話のタイトルは以下の通り―
- 信長軍包囲
- 岐路
- 羅針盤
- 北征前夜
- 総退却
- 信長狙撃
- 琉球丸難破
- 呂宋島漂着
- 交易事始
- 南海の館
- 珊瑚珠無情
- 叡山焼打
- 戦国哀史
- 信玄上洛
- 九死一生
- 将軍追放
- 乱世独歩
- 新天地
- 安土築城
- 聖母昇天
- 善住坊処刑
- 摂津動乱
- 西国進撃
- 鳥取兵粮戦
- 飢餓地獄
- プエルト・デル・ハポン
- 信長死す
- 安土炎上
- 起死回生
- 大坂築城
- 竜虎相撃つ
- 納屋襲名
- 海賊船
- 大洪水
- 陰謀
- 伴天連追放
- 反逆
- 大勝負
- 偽国使
- 利休切腹
- 侵略者
- 先陣争い
- 朱印船襲撃
- 呂宋遠征計画
- 天変地異
- 五右衛門刑死
- 助左衛門追放
- 暗黒航路
- 激流
- 関ヶ原
- 堺炎上(最終回)
僕にとってのこの作品の印象深いところは織田信長(高橋幸治さん)、豊臣秀吉(緒形拳さん)という大河ドラマ「太閤記」以来のキャスティングでしょうね。また今井宗久(丹波哲郎さん)、千利休(鶴田浩二さん)、石田三成(近藤正臣さん)、高山右近(鹿賀丈史さん)、小西行長(小野寺昭さん)の男性陣や細川ガラシャ(島田楊子さん)、ねね(十朱幸代さん)、笛(モニカ、夏目雅子さん)、桔梗(竹下景子さん)も印象に残ってます。(なかでも、緒形拳さん演じる秀吉と十朱幸代さん演じるねねの夫婦間の会話は全て尾張訛りで話されていたのが面白かったです 笑)
個人的には豊臣秀次(櫻木健一さん)が幾つか観た秀次役の役者さんの中でも一番印象深いものになっています。
また、秀吉の出世街道まっしぐらという観点から見た時、他の作品ではあまり描かれていない鳥取城攻め(=兵糧攻め)が描かれている唯一の作品でもあるんですよね。
あと…この作品で1つ感じたのが、関ヶ原の合戦によって東軍=徳川方の農耕経済が勝利し、西軍=三成や行長、そして堺の商人たちの商業経済が敗退していった、という構図が読み取れる気がするんですよね。難しく言えば、日本が重商主義をメインとして発展せず、重農主義の道を進んでいった―その過程を“自由都市・堺の崩壊”に照らし合わせて描いた作品だと感じます。
※(関連)「助左衛門幻影~大阪・堺~」

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黄金の日日 - 城山三郎
この記事へのコメント
とおりすがり
あと、重農主義は重商主義の弊害というか失敗が明らかになってきた時代に生まれた思想です。
Gくん
歴史が理解できるようになる小学校高学年ぐらいのときに観た大河って、一番印象に残るのではないかと思っています。
「黄金の日日」は、原作を発展的にアレンジした最初の作品とのことのようですね!
うちの父親も当時、一商人が主人公ということで先入観から期待していませんでした。
しかし、いざ番組が始まってみると、戦国のストーリも割と忠実に再現した歴史ドラマにもなっており、はまっていました(小生もですが)。
また、少なくても総集編だけでも観てみたくなりました。
御堂
「黄金の日日」は僕にとっても初めて第1話から観始めた大河ドラマなので、今も鮮明な印象が残っています。
後で色々と調べているうちにわかった事なのですが、この作品の前、すなわち「花神」までは、原作に忠実な、“歴史小説のドラマ化”で、忠実に小説の中の登場人物しか配役されなかったのが、この「黄金の日日」からは作品独自のオリジナルキャストが始めて設定された最初の作品だと云われています。
実はこの作品で大河ドラマは終わり、って感じだったので、好きな事やってみよう、って考え出された脚本が実は好視聴率に繋がったそうなんですよ!
確かに、今思い返してみても、信長でもない、秀吉や家康でもない、呂宋助左衛門という一商人のストーリーですが、見応えは十分にありましたもんね!!
Gくん
この大河「黄金の日日」は、特に思い入れがあります。
テーマ曲・ストーリ・脚本・キャスティング・ナレーションすべて良かったです。
2chでも、大河ドラマ上の最高傑作との投稿がありました。納得でした。
脚本家の三谷幸喜氏も少年時代、感化されたとか。