夕方のニュースを観ていたら、“音楽でプロの道を目指す!
というタイトルで特集を組んでいました。
視覚障害の子どもたち
ヘレンケラー・コンクールに密着”
ヘレンケラー記念音楽コンクールとは、昭和24年(1949)に“全国で唯一の”盲学生の音楽コンクールとして始まったコンクールで、当初は盲学校音楽教育の実態を知ってもらい音楽家を志す盲学生の登竜門にするのが目的でした。
その後、普通校で学ぶ弱視児まで参加枠を拡大し、現在では視覚障害者の音楽コンクールとして、ピアノやヴァイオリン、独唱、合唱などの成果を持ち寄って競います。
これまでに、このコンクールから小学4年生時にデビューしたヴァイオリニストの和波孝禧さん、同じ小学4年生時に絶賛を受けたチェンバロなど鍵盤楽器奏者の武久源造さんら、国際的に活躍する演奏家を輩出しています。
参加者の年齢やレベルはまちまちで、音楽を始めたばかりの児童や生徒・学生もいます。それぞれに大きなハンディがある分だけ、誰もが卓抜した演奏という訳にはいきませんが、何れもが音楽家としての道を目指し、音楽によって如何に生きるか目標に頑張っているのです。
コンクールの演目は、
などの部門で競われました。小学生低学年(3年生以下)の部
小学生低学年(4年生以上)の部
中学生の部
高校生以上の部独唱1部(小学生及び中学生)
独唱2部(高校生以上)
重唱・合唱の部
視聴したニュースの特集では、大阪視覚支援学校からプロの声楽家を目指す生徒さんたちに密着していました。
その生徒さんは「浜千鳥」を自由曲として唄うのですが、歌詞である日本語の表現力に四苦八苦している様です。
生まれついての視覚障害であったため、詩の解釈=情景が浮かばない、といった“見えないイメージ”に苦しんだり、生まれつき見えないために鏡で自分の表情を観たりする事がない分、笑顔の作り方や言葉1つ1つの正確な発音に苦しんでいる様なのです。
それらを克服するために、先生がその生徒さんの顔を手で触って動かしたりするなど、筋肉の動きを通して身につけさせようと指導されています。
結果として、コンクールでは2位だったのですが、このコンクールの凄い所は、1位が該当者なしという現実を参加者たちに突きつけている点です。また、前回参加時に1位だった受賞者は連続して参加できないという決まりもある様です。
プロの音楽家として自立させようとする“愛の鞭”って感じですね。
でも、それで“次の機会ではもっと頑張る”って思いを募らせてコンクールに帰ってくる参加者たちの姿こそ、自立した視覚障害者に一歩一歩近付いていってるんだな!って思います。
視覚障害を持った皆さんにとり、音楽家として身を立てるのも1つの“自立”であって、そこに賭ける情熱は並々ならぬものでしょう。今回コンクールに参加された人たちも自分が次に何をもっと頑張るべきかを知った事でしょうし、それは人生にも役立つ経験として備わったと感じます!
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