純愛物語―勧修寺家と“玉の輿”―
説話集で有名な『今昔物語集』巻22(本朝世俗部)には藤原摂関家の歴史が語られています。その中に摂関家の本流ではなく傍流だが、末永く繁栄した一族である勧修寺家の祖先にあたる藤原高藤という人物の純愛物語が記されています。
高藤という人物は幼い頃から鷹狩りが好きで、15、6歳の時、鷹狩りに南山階(やましな)(山城国宇治郡山科、現在の京都市山科区)の山々を彷徨いました。ところが、急に雨風が強くなり、供の者たちとも離れ離れになってしまい、高藤は馬飼い1人を連れて小さな唐門のある家..