(トピックス)安南国(ヴェトナム)発最古の書簡発見!

京都市内の古書店で見つかった最古の安南国書簡「安南国副都堂福義侯阮書簡」

九州国立博物館(以下、九博)は安南国(現在のヴェトナム)から日本に送られた最古の書簡が見つかったと発表しました。これまで最古とされてきた徳川家康宛ての書簡を10年さかのぼ天正19年(1591)の日付が記され、当時の日本とヴェトナム(当時は安南国)の交流を知る貴重な史料との事です。

新発見の書簡(「安南国副都堂ふくとどう福義侯ふくぎこうグエン書簡」)は漢字で書かれ、九博が昨年、京都市内の古書店から購入。

縦33・3cm、横34・9cm。日付は「光興14年(=天正19年=1591)うるう3月21日」付となっています。

宛所(差出人)は「福義候阮」という、この当時、ヴェトナム北部から中部を実効支配していた広南阮氏ホアンという人物の関係者から「日本国国王」宛てに送られたもので、「昨年、ちん梁山りょうざんという使節に象牙などを託しました。今年来航した(使節の)りゅうげんは陳という人物を知らないというので、改めて珍しい品々を贈ります」と過去に日本から来た国王の使者から剣や甲冑が贈られた経緯を綴り、日本との「往来交信之義」(通交)を求めるため、象牙などを贈るという内容。

九博は、書簡に記された天正19年にあたる安南国の年号「光興」(ヴェトナム後レー朝で使用された元号、1578〜1599)と日付にある閏月が当時のヴェトナムの暦と符合する事、「花押」とみられる印章など文書形式が他の安南国の書簡と似ている事、などを確認し、実物と判断したようです。

ただ、「日本国国王」は特定できず、日本からの公式の使者を装った東南アジア交易に従事した日本の商人に渡した可能性が高いとの事。

安南国からの書簡は約20通が確認されていますが、これまでは上述した阮潢徳川家康に宛てた「安南国元帥瑞国公上書」(慶長6年=1601)が最古とされていました。

九博の藤田励夫・保存修復室長は「1591年当時、既に日本とヴェトナムの間で人の行き来があったことを確実に示す貴重な史料」としながらも、「安南国側は日本と通商したいという安南国の強い意思を感じるが、当時天下人だった豊臣秀吉安南国と通信した記録はなく、陳梁山や隆巌という人物も知られていない。当時は日本人商人が東南アジアで積極的に交易を展開しており、交易を円滑に進めるため将軍などの使節を詐称する事例があったので、この書簡も安南国からの贈り物を目当てに、日本の国王からの使者を装って来航した商人に安南国側が託した可能性が高い」」話されています。

― ◇ ◇ ◇ ―

この時期のヴェトナムは、ちょうど大越国後期黎朝の時期ですが大越皇帝は実権を失っていて、実質的には北部の東京トンキン(現在のハノイ)に勢力を拠る安南都統使マクチン氏政権と、南部の順化フエに勢力を拠る広南クァンナム阮氏政権という地方政権が分立する時代でした。

この書簡が送られた翌年の光興15年(1592)、鄭氏政権の鄭トゥン莫朝の皇帝・莫茂洽マウホップを殺害して莫朝を北東部の一地方政権に追いやり、後期黎朝が再興(中興黎朝)されます。

それを考慮した場合に、安南国側の思惑が単に交易だけだったのかな、という疑問が生じませんか?

もしかすれば、阮氏政権鄭氏政権打倒のために討った手立てとして優れた武器の輸入を考えていたのかも!という発想もなきにしもあらず…です。

― ◇ ◇ ◇ ―

日本の国王からの使者を装って来航した商人
さて、異国渡海の朱印状は、この書簡が送られた翌年の天正20年(1592)に、豊臣秀吉が長崎の荒木宗太郎、末次平蔵、船本弥平次、糸屋隋右衛門、京都の茶屋四郎次郎、角倉与一、伏見屋、堺の伊勢屋らの豪商たちに授けたのが最初です。

その中で気になるのが、長崎の豪商荒木宗太郎ですね。元は肥後熊本の武士(一説に肥後国玉名郡高瀬町〔現在の熊本県玉名市高瀬〕に戦国末期に商人としての荒木氏がみられ、宗太郎も当地の人であった可能性があるそうです)でしたが、天正16年(1588)頃、長崎開港と共に長崎に移住し、朱印船の貿易商として暹羅シャム(タイ)や安南地方に数度貿易船を出して活躍した人物です。

宗太郎は、阮氏に深く信頼され、のちに元和5年(1619)には、阮氏の娘、王加久戸売ワカクトメ(王家旧戸梅)(本名は阮氏梅)を妻とします。

宗太郎阮氏の信頼を得ていたとみられ、阮氏の親族として貴族の待遇を許され、阮太郎と称したと伝えられています。

宗太郎は王加久戸売を長崎に連れて帰りますが、彼女は長崎の町民らにアニオーさんと呼ばれ親しまれそうです。

その豪奢な輿入れの有様は、現在でも長崎くんちでの宗太郎に所縁のある本石灰町の奉納踊り(7年に一度)には帆先に荒木宗太郎とアニオー姫が乗った御朱印船だそうですよ。


下記のブログランキングに参加しています。
記載された内容が目に留まった際には、クリックをお願いします!
人気ブログランキング
にほんブログ村 歴史ブログ
posted by 御堂 at 07:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史:コラム
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/368072900
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック