NHK土曜ドラマ「遠雷と怒涛と」

CSの時代劇専門チャンネルにおいて、昭和57年(1982)3月から4月のかけて放送されたNHK土曜ドラマ「遠雷と怒涛と」がCS初放送として放映されます。

私は当時、高校2年生になったばかりで、いよいよ大好きな歴史の授業が受けられる、と期待に胸膨らませていた時期で、この作品も観ていたんですよね、実は…

しかし、断片的にしか記憶に残ってません!相当なインパクトがあったはずなのに…

私が小学校6年生の昭和52年(1977)に放送されたNHK大河ドラマ「花神」を観て、歴史にハマり、この時点で将来は歴史の勉強がしたい!と目標が定まったきっかけを与えてくれたのですが、この「遠雷と怒涛と」という作品も実はその方向性を指し示してくれた作品だったのです。

― ◇ ◇ ◇ ―

「花神」を観て長州藩が好きになり、そこから司馬遼太郎氏の作品を読み出し、原作として引用された『世に棲む日々』『花神』『峠』『十一番目の志士』などを読み漁りますが、同じ時期に父が購入していた小学館の『日本の歴史』シリーズを読み始め、その中の第24巻『明治維新』に出会います。執筆されたのが田中彰先生で、先生が書かれた脱退騒動隊中さま信仰の話に興味が湧いたんですね。

さらに、奈良本辰也先生の著書も読んでいくうちに、奈良本先生が周防大島(山口県大島郡大島町)出身である事を知ります。

京都って、昔は割に部落・同和問題に関する授業が小学校から習ったりするのですが、奈良本先生の著作もその方面に関するものが多く、そこから吉田年麻呂(稔麿)被差別部落民の登用策や維新団の結成など、武士階級に虐げられてきた下層階級の存在を知っちゃいます。

おかげで、周りの長州好きな連中とは話が合わなくなっちゃいました。みんなはやっぱり、幕末・維新期の幕府に立ち向かっていく長州(基本はもちろん「花神」ですけど…)が好きで、好きな人物は高杉晋作久坂玄瑞が挙がるんですが、私は上記に挙げた隊中さまだったり、名もなき隊士に興味が変わっていき、むしろ維新期以降の長州の動きに注目するようになった訳です。

大学の史学専攻科に進み、広島や山口出身者と友達になり、彼らを通じて萩藩毛利氏に関する情報や知識を吸収したりして、夏休みには山口県文書館に通って、そこにしかない書籍を読み漁ったりしました。

そんな私への歴史への興味を促してくれた作品がこの「遠雷と怒涛と」という作品だったのです。

― ◇ ◇ ◇ ―

さて、前置きが長くなりましたが、本放送時にリアルタイムで観ていた割に断片的な映像しか憶えていないなんて、って感じですが、大学の史学専攻科の時、広島と山口出身者からマツノ書店の存在を知ります。ちょうど『定本奇兵隊日記』を発刊される記事だったかな…

そこで、会員となったら、マツノ書店から古書目録が送られてきました。その古書目録を探ってみると、こんな記載があったのです―(以下、引用)

enrai-to-doto-to.jpg

書名:遠雷と怒涛と
著者:湯郷将和
出版社:日本放送出版協会
価格:500円
刊行年:昭和57年
詳細:B6 248頁 天小口少ヤケ ▼激動の発火点・長州毛利藩には半官半民の鯨組があった。大山市之進は士分を棄ててこれに投じたが…。士族の誇りにこだわって反目しあう同志、妻タツの離別、やがて骨肉血で血を洗う「萩の乱」へと押し流されていく。明治維新史に欠落していた「普通の人びと」の息づかいを活写して、放送文学審査委員の高い評価を受けた力作。
―断片的な記憶で作品タイトルさえ忘れていた私でしたが、「もしかしたらこれじゃないかな?」と思い立ち、購入する事に決めました。

本が手許に届き、内容を読んでいくうちに、「間違いない、これだ!」と確信。

キーワードとなるものが定まると、後は雪崩のように見つかっていくもんで、作品が放送された年月日も把握でき、主な出演者も判りました。

さらに、「NHKって情報紙あったよな?」って事で図書館で調べると、『グラフNHK』を発見!そこでようやく「遠雷と怒涛と」の特集記事にお目にかかれた訳です。

― ◇ ◇ ◇ ―

以下、「遠雷と怒涛と」の情報データです―

(本放送の日時)
第1回−昭和57年(1982)3月27日
第2回−昭和57年(1982)4月 3日
第3回−昭和57年(1982)4月10日(完)

原作は、湯郷将和氏による同名タイトルの『遠雷と怒涛と』

ちなみに、湯郷将和氏は昭和63年(1988)に57才でお亡くなりになっています。

主人公にあたる人物が湯郷将和氏の曽祖父にあたる方をモデルに書きあげられています。

放送文学賞の第3回(昭和55年度=1980・4〜81・3)受賞作品で、

幕末・維新期を背景にした物語には、知名度の高い人物にスポットをあてたものが多いが、この作品の主人公は、名も知れぬ長州藩の下級武士。

ドラマでは、長州藩の下級武士・大山市之進を中心に、維新という激動の時代の変革に遭遇し、否応なしに翻弄されていく人々の戸惑いや苦悩を描いた作品
となっています。

舞台設定としては、慶応2年(1866)に始まる四境戦争で長州藩が石見浜田藩(松平右近将監家=越智松平家)を攻めた石州口の戦い(益田戦争)から、明治3年(1870)の長州藩諸隊脱退騒動を挟んで、明治9年(1876)の萩の乱辺りまでが描かれます。

舞台は江戸時代、長州藩の公設処刑場である大屋刑場地や大屋検問所があった長門国阿武郡大屋村(現、山口県萩市大字椿大屋、萩市笠屋)と、長門市仙崎から北にわずか120m、仙崎湾にかかる仙崎大橋を渡った青海島(おおみじま)の東側に位置し、古式捕鯨の里でも有名な長門国大津郡仙崎通村(現、山口県長門市通)の通浦(かよいうら)という場所。

なかでも、通浦は江戸時代から捕鯨基地として発展した地。

通浦の鯨組(数百人を単位とした捕鯨組合組織)は延宝元年(1673)に長州藩に取り立てられて以降、明治41年(1908)まで235年間にわたって、古式捕鯨(網掛け突き捕り法=鯨を網に追い込んで、銛で突いて捕獲する網掛け突き取り方法によつ漁)を続けました。

同市仙崎出身の金子みすゞの詩歌「鯨捕り」の中には次のような一節が見受けられます―

 むかし、むかしの鯨捕 り
 ここのこの海、紫津(しず)が浦

 いまは鯨はもう寄らぬ
 浦は貧乏(びんぼ)になりました

―通浦の鯨組の網頭(網元)であり、庄屋役を務めていた13代目・早川源治右衛門の家は「早川家住宅」として国の重要文化財に指定され、現存しています。

主な出演者の顔触れは―
  • 大山市之進=勝野洋さん


  • 市之進の父・松三郎=芦田伸介さん

  • 市之進の弟・末松=広岡瞬さん

  • 市之進の妹・ウメ(早川清太郎の妻となる)=宮崎美子さん


  • 市之進の長男・米蔵(タツとの間の子)=大塚利明くん→原作者の祖父にあたる


  • 市之進の先妻・タツ(片岡家の出、佐世八十郎の従妹→離別する)=竹下景子さん

  • 市之進の後妻・サヨ=宇都宮雅代さん


  • 市之進の叔父、松三郎の兄・又一(萩・明倫館の剣術師範)=下条正巳さん

  • 大山家の使用人・キヨ=鳳八千代さん


  • 庄屋&網頭・早川権左衛門=金田龍之介さん→おそらく、13代目・早川源治右衛門のモデル

  • 権左衛門のせがれ・清太郎=永島敏行さん


  • 鯨組の若年寄・勘助(磯部勘助)=北浦昭義さん

  • 勘助の妻・フク=木村夏江さん


  • 大屋検問所の番役人・周助=岡本信人さん


  • タツの実父・片岡伝右衛門=大木実さん

  • タツの実兄・片岡内蔵太=村野武範さん


  • サヨの実父・孫兵衛=加藤嘉さん


  • 大村益次郎=米倉斉加年さん

  • 神代こうじろ直人=深水三章さん

  • 木戸孝允=河原崎長一郎さん


  • 山田えい太郎(前原一誠の弟)=浜田晃さん

  • 奥平謙輔=内田勝正さん

  • 横山俊彦=伊藤高さん

  • 一誠の妻・綾子=千北谷和子さん


  • 市之進の従兄・佐世八十郎(前原一誠)=近藤正臣さん
放送日時は、

 第1回=3月17日(土)22:00〜23:13(再放送:4月7日〔土〕25:00〜)
 第2回=3月24日(土)22:00〜23:13(再放送:4月7日〔土〕26:20〜)
 第3回=3月31日(土)22:00〜23:13(再放送:4月7日〔土〕27:40〜)

ホントに、ホントに待ち望んで、実に35年!1コマ1コマを鮮明に瞼に焼き付けようと思います!

― ◇ ◇ ◇ ―

※(参照)NHK大河ドラマ「花神」、新たに2話発掘される!→
※(参照)待ちに待った「風が燃えた」、33年ぶりの再放送!→
※(参照)映画「獄に咲く花」―松陰先生と久子女史を描いた物語→
※(参照)NHK大河ドラマ「花神」第19話「上海みやげ」→
※(参照)その時歴史が動いた「奇兵隊〜幕末に命を賭けた若き庶民たち〜」→
※(参照)「長州ファイブ」→
※(参照)すべてはこの時から―昭和52年!→


  


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posted by 御堂 at 04:26 | Comment(6) | TrackBack(0) | 歴史:ドラマ
この記事へのコメント
吉岡明子さま、ご来訪及びコメントの程、有難う御座います。

故湯郷将和氏のご本名は『グラフNHK』にも記載されていたので判っていました。また、ネットで『遠雷と怒涛と』を検索していたところ、お父さまの高校の同級生であられる方が本の感想などを書いておられるブログ記事を発見でき、そこからも確認する事ができました。

さて、私にとって、この『遠雷と怒涛と』という作品は、歴史を学んでいく上で、その方向性を示してくれたきっかけとなった作品なので、こうして35年ぶりに観る事が叶い、嬉しい限りです。

私自身、お父さまの様な視点で描かれたこの『遠雷と怒涛と』という作品が現在(いま)だからこそ、何か考えさせられるものがあるのでは?と感じています。

それ故、故湯郷将和氏の発想力、そしてそれを支えて来られたご家族の皆様に敬意を表したく存じます、良き作品を有難う御座います!
Posted by 御堂 at 2012年04月11日 02:07
このたびは「遠雷と怒涛と」の紹介をありがとうございます。期待をもってお待ちいただいた方があったこと、大変感激しております。

実は原作者・湯郷将和の長女です。執筆やその後の展開に、汗をかきかき奮闘していた父を懐かしく思い出します。

ドラマのCS放送については、私ども遺族にも思いがけないものでした。また正直、平成の世にどのように受け止められるのか見当がつかず不安もあったのです。
でも、御堂さまはじめ温かいお言葉で受け入れてくださった皆様に、感謝の気持ちでいっぱいです。グラフNHKまで手配くださって、父に代わってお礼を申し上げます。ありがとうございました。
Posted by 吉岡 明子 at 2012年04月10日 23:30
速水ちづる様、初めまして、当ブログへの来訪とコメントのほど、有難う御座います。

私にとって、初めて観た時代劇が幕末モノでして、なかでも一番強烈な印象だったのが、「花神」でした。この作品が私が現在も“長州びいき”を貫いているきっかけをくれたんですね。

他に「風が燃えた」もありましたが、どれもが討幕の段階で完結されていました。それで、もっと色々な事が知りたいと本を読み漁るうちに、萩の乱の事を知り、“勝者の中の敗者”の存在とその響きに何か高ぶるものがあったのです。

そうした時期に、この「遠雷と怒涛と」が放送された訳で、長州の百姓や士族たちの悲哀を感じ得た訳なんですね。

その後、長州が主役な作品は少なくなり、「白虎隊」「田原坂」「五稜郭」や「翔ぶが如く」でも脇役どまり…

「奇兵隊」という作品もありましたが、脚本段階では記載されていたのに、反乱鎮圧で斬首された首が並ぶシーンが放送禁止でカットされるなど、(ある程度知ってしまった)私としては物足りなさを感じる日々でした。

今回の放送は、「よくぞ残ってたフィルムさん」という思いと、あの頃の想いをもう一度!という意味を込めて瞼に焼き付けようと思います!

 >実は前原一誠は 私の母の曾祖父にあたります。

へぇーそうなんですか。仰るようにお導きがあったのやもしれませんね。

私の中では、前原一誠は軍人でもなく、政治家でもなく、実務官僚だと思います。有名な信濃川分水工事でも民衆の立場に立ったモノの考え方は「国ありき」な木戸孝允とは相容れないものがあった事でしょう。

それと、前原一誠、イコール近藤正臣さんのイメージは今も頭に描かれていますよ。

速水ちづる様も当時を思い起こしつつ、ドラマをご覧くださいませ!
Posted by 御堂 at 2012年03月08日 22:23
御堂さま

「遠雷と怒濤と」のご紹介有り難う御座います。NHKの放送が35年も前になるのですね。あの頃何気なくつけたTV、本当に偶然にチャンネルはNHKになっていて、このドラマを見たのでした。長州藩の物語でしたので、気になって最終回まで見ました。

実は前原一誠は 私の母の曾祖父にあたります。
当時、ビデオに録画するなんて思いも及ばず、私一人で見ておりました。

後に母から前原一誠の話を詳しく聞いて、あの時録画していなかった事を後悔しました。母にも見せたいし、もう一度見たいと思い、長年探していましたが、再放送もなく諦めていました。

NHKの方にお願いして、倉庫にないか、フィルムを探して頂いた事もありましたが、その時は見つかりませんでした。

本日様々な不思議な偶然が重なり、ご先祖様である前原一誠の御霊のお導きで、御堂様のこのページに 案内されたとしか思えません。

本当に有り難う御座いました。
Posted by 速水 ちづる at 2012年03月08日 17:58
M.N.さん、こんばんは!コメントありがとうございます。

私もこの「遠雷と怒涛と」を35年ぶりに観ますので、高騰感で待ちきれない状態です。

同じ様に、昔観た、埋もらせたままでは勿体ない作品が他にも一杯あるので、発見されるたびに心躍るかもしれません!!
Posted by 御堂 at 2012年03月05日 23:24
ドラマ「遠雷と怒涛と」のご紹介ありがとうございます。こちらに紹介されている「主な出演者」の中に大ファンの役者さんが含まれていました。
恥ずかしながら出演作として把握していなかったので、時代劇専門チャンネルに加入していながら見逃してしまうところでした。
突然で失礼かとは存じますが、一言お礼を申し上げたく思いました。ありがとうございました。
Posted by M.N. at 2012年03月03日 16:46
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