幕末・維新期に足軽身分から内閣総理大臣まで上り詰めた明治の元勲・伊藤博文とその妻・梅子の波瀾万丈な生涯を軸に、近代日本の夜明けを疾風の如く生きた人々を描いた作品。
前半は恋、革命、友情をテーマにした青春群像を博文の立身出世に焦点を当てて物語が進み、後半は日本という国家が大きな変貌を遂げた明治時代の人間群像を、博文・梅子夫妻の情愛を軸にして描かれています。
主な配役陣は―
- 伊藤利助(俊輔、博文)=(青年期)三浦友和さん→(壮年期)平幹二朗さん
→友和さんは確か、松下村塾に入塾する辺りから、秘密留学生を経て、兵庫県知事辺りまでの配役じゃなかったかな?んで、平幹さんは岩倉使節団による外遊の頃からハルピンで暗殺されるまでを演じておられたはず! - 梅(博文の妻、梅子)=(青年期)山口百恵さん→(壮年期)三田佳子さん
- 井上聞多(馨)=(青年期)森田健作さん→(壮年期)宍戸錠さん
→聞多は実際には「もんた」と呼びますが、ドラマ設定では「ぶんた」と呼んでいます。(「花神」では「もんた」と呼ばせていたのにね!笑)この聞多のキャスティングは当初、緒形拳さんだったと聞きます。もし、出演されていたら、どんな聞多を演じておられた事でしょうね?緒形さんだと主役級を喰うくらい存在感を発揮させちゃう感じは見られます。ただ、長年日活映画で小林旭さんの“渡り鳥シリーズ”などにおいてバイプレーヤーとして存在感を表していた宍戸さんの、目立たないんだけど、美味しいトコを持って行かれる良さも面白いっちゃー面白いです(笑) - 伊藤十蔵(博文の父)=森繁久弥さん
→印象に残ってるシーンは、十蔵さんが家族のために藩札をせっせと貯めておいたのに、版籍奉還で使えなくなってしまい、その事を俊輔(長州シンパとしては“俊輔”と言ってしまいます、笑)に嘆くって場面があって、そこから俊輔の建議による新貨条例(日本の貨幣単位として「円」に統一、明治4=1971)が制定されるってエピソードですね! - 琴(博文の母)=赤木春恵さん
- 生子(博文の長女、末松謙澄の妻となる)=真野響子さん
- 沢子(博文の次女、生子の異母妹)=高田みづえさん
- 末松謙澄(長女・生子の婿)=篠田三郎さん
- 石川文四郎(伊藤家の書生)=佐藤佑介さん
- 吉田松陰=加藤剛さん
- 桂小五郎(木戸孝允)=竹脇無我さん
- 高杉晋作=山口崇さん
- 久坂玄瑞=長塚京三さん
- 山県狂介、有朋=(青年期)辻萬長さん→(壮年期)高松英郎さん
- 山尾庸三=矢崎滋さん
- 野村弥吉(井上勝)=石山律雄さん
- 遠藤謹助=伊藤高さん
- 岩倉具視=鈴木瑞穂さん
- 三条実美=刀原章光さん
- 西郷隆盛=石黒正男さん
- 大久保利通=城所英夫さん
- 黒田清隆=睦五郎さん
- 大隈重信=津川雅彦さん
- 渋沢栄一=高橋享さん
- 五代友厚=田辺しげるさん
- 桂太郎=横内正さん
- 乃木希典=垂水悟郎さん
- 児玉源太郎=南原宏治さん
- 金子堅太郎=長谷川哲夫さん
- 伊東巳代治=新倉博さん
- 井上毅=和甲柘さん
- 小村寿太郎=小坂一也さん
- 高橋是清=天田俊明さん
- 井上の妻、武子=水原英子さん
- 晋作の愛人、おうの=吉田日出子さん
- 妙(俊輔の元許嫁、風倉彦之進の妻)=佐藤オリエさん
- アーネスト・サトウ=リチャード・ジョーンズさん
- ハリー・パークス駐日イギリス公使=フランシス・コナさん
- 中江兆民=森本レオさん
- 幸徳伝次郎(秋水)=風間杜夫さん
- 亀太郎(梅子の兄)=財津一郎さん
→鹿鳴館での舞踏会で森繁さん演じる十蔵さんとの掛け合いは一服の清涼剤みたいで和めました!(笑) - 風倉彦之進=地井武男さん
→元は水戸脱藩浪士、坂下門外の変以降、長州藩諸隊に参加、士族の反乱に同調して萩の乱に一味したり、初期自由民権運動(士族による壮士活動)などで急速な西欧化を目指す俊輔に反発し、その命を付け狙おうとする
の皆さんです。
オープニングテロップでのことばです―
歴史は「あれっ!」てお気づきになった方いませんか?
みずからが
それを必要とするとき
ひとりの人物をえらび
任務を与え
これを援け
そして―
その必要が終わったとき
その人物をすてる
そう!NHK大河ドラマ「花神」でのオープニングテロップでのことばを反映させてる感じ―(笑)
「花神」において、松陰先生ら第1世代がプラン(計画)を練り、晋作ら第2世代がそれを実践し、“第3世代”でる俊輔らが綺麗に完成させる、といった感じのことばで始まりますが、この「風が燃えた」でも“第3世代”である俊輔の課せられた運命を見事に唱っている気がします。
さて、俊輔(平幹二朗さん)を“光”の部分とすれば、風倉彦之進(地井武男さん)は相反する“影”って感じ!
改めて気づいたのは、観た当時は風倉彦之進演じる地井武男さんは山尾庸三役だとてっきり思っていた訳です…すごく勘違いしちゃちゃってましたね。
ドラマの中で俊輔と共に『群書類従』や『続群書類従』を編纂した塙保己一の子である塙次郎(忠宝)を暗殺しようとするシーンがあって、殺害の実行犯の役どころが地井武男さんだったのは確実に憶えていたので、取り違えてしまってました。
加えて、役どころは俊輔の元許嫁だったけど、のちに地井武男さんが演じる風倉彦之進と結婚する妙という女性を演じていた佐藤オリエさんも壮年期だけだと間違って憶えていました。(反省!)
リアルタイム放送時、ドラマの合間のCMでブラジル日系移民の話題が放送されていた記憶があります。明治28年(1895)第二次伊藤内閣の頃、日本とブラジルとの間に修好通商航海条約が結ばれ、その12年後の明治41年(1908)4月にブラジル移民船が神戸港を出航してから70年の歳月が経ったのを紹介した内容だったかな?
その中でブラジルに新天地を求めていく日本人たちと共に記念撮影をした俊輔の写真が映されていましたっけ!
いやぁー実に33年ぶりの視聴となるんですね。何と言っても、あの頃は小学校卒業間近でしたから…とても懐かしいです。
私にとって、この時期は歴史という学問に出会って、好きになって、将来は“歴史の勉強をするんだ”って方向性が定まった時期でもあります。
しかも、この「風が燃えた」が放送(3月6日)された直後に、ちょうどNHK大河ドラマ「花神」の総集編が放送されており、今日における“たった一人の”長州贔屓な自分を決定づけた作品でもあるんですよね。
例えば、長州藩をメインに扱ったドラマ作品は、これまでに、
- NHK大河ドラマ「花神」(昭和52年=1977)
- TBSドラマスペシャル「風が燃えた」(昭和53年=1978)
- NHK大河ドラマ「花神」総集編(昭和53年=1978)
- NHK土曜ドラマ「遠雷と怒涛と」(昭和57年=1982)
- NTV年末時代劇スペシャル「奇兵隊」(平成元年=1989)
- NHK正月時代劇「蒼天の夢 松陰と晋作・新世紀への挑戦」(平成12年=2000)
- 映画「長州ファイブ」(平成18年=2006公開)
- 映画「獄に咲く花」(平成22年=2010公開)
最後に、主題歌だった森山良子さんの♪愛の歴史♪の歌詞をピックアップ!
♪誰でも 傷ついた日があるサビの部分にあたる♪春がすぎ 夏は燃えつきて やがて秋の風 落ち葉の冬♪というフレーズですが、勿論その内容は梅子から観た俊輔と連れ添ってきた年月を語り唄ったものでしょうけど、反面何だか「花神」総集編第1巻での松陰先生(篠田三郎さん)が小伝馬町の牢獄で明日処刑されるという前日に沼崎吉五郎に語った「春夏秋冬」のシーン、または総集編第4巻「徳川を討て!」で晋作(中村雅俊さん)が桜山招魂社に立つ松陰先生や塾生たちの墓参に来た際に語った「春夏秋冬」のシーンに重なるようで、すごく印象的な気がしちゃいます。
私たちは とこしえまで
時をこえて 愛しあおう
たとえば 別れても
私は ただあなたと暮らしてきた
愛の歓びを 歌うの
*春がすぎ 夏は燃えつきて
やがて秋の風 落ち葉の冬
いつの世も 青春の夢が
のこすのは 愛の歴史よ
二人の この愛があせても
私たちは 信じあって
人の幸せを 生きよう
* リピート
なお、神奈川県横浜市にある放送ライブラリー―財団法人放送番組センターではこの「風が燃えた」を映像資料として保管されておられるようですので、首都圏の方や出掛けられる皆様方は視聴が叶いますよ!
※(参照)NHK大河ドラマ「花神」、新たに2話発掘される!
※(参照)NHK土曜ドラマ「遠雷と怒涛と」
※(参照)映画「獄に咲く花」―松陰先生と久子女史を描いた物語
※(参照)NHK大河ドラマ「花神」第19話「上海みやげ」
※(参照)その時歴史が動いた「奇兵隊~幕末に命を賭けた若き庶民たち~」
※(参照)「長州ファイブ」
※(参照)NHK少年ドラマシリーズ「幕末未来人」―すべてはここから!
この記事へのコメント
御堂
再び観られた「風が燃えた」の印象はいかがでした?TBSチャンネルにも契約されたとか…
始めて観た当時の、インパクトのあった作品に再び出会えますように!
蟷螂の斧
TBSチャンネルと契約しました。
そして、ついに「風が燃えた」を見ました!
すごく良かったです!
御堂
「風が燃えた」ですが、どうやらTBS開局60周年記念の一貫で“百恵ちゃん”特集として再放送の機会に恵まれたようなんですね。
但し、私もスカパーを契約して今年で7年目になるのですが、その間「熱い嵐」も初回放映からすでに2~3回は同チャンネル内で放送されています。
それ故、またしばらくして再放映の機会があるのでは?と思っているんですよね。
「そこが知りたい」はつい最近まで放映されていたようですよ。
残念ながら、私の住む関西(=毎日放送)では放送されていなかったので、どんな番組かは想像つきませんが…
蟷螂の斧
TBSチャンネルですか。
我が家は加入してないですね・・・・。
CATVには加入していますが。
「熱い嵐」も覚えていますよ。
高橋是清の若い頃は国広富之、年食ってからは森繁久弥。奥さんが竹下景子と森光子。
TBS。
1980年代に放映された「そこが知りたい」は放映されましたか?
荻昌弘さんが司会。
なかなか勉強になる事が多かったです。
御堂
さて、TBSチャンネルはスカパーでのチャンネル契約で視聴しておりますので、有料です。
カセットテープで録音されていたんですか、すごい!
私も「花神」の総集編についてはテープ録音をしましたが、この作品については、考えませんでした。(その分、しっかりと目に焼き付けましたが…)
森山良子さんのこの曲、欲しいんですが、アルバム収録曲なのでしょうか?シングルB面ではなさそうだし…
私自身、スカパーに参入して、かれこれ6~7年経ちますが、この作品と同じく3時間ドラマで高橋是清を題材にした「熱い嵐」という作品は一度TBSチャンネルで放送されて以降、3回ほど放映されていますので、今後また再放映の機会があるやも知れません!(今回は“百恵ちゃん特集”って事で陽の目が出た訳ですが…)
蟷螂の斧
有料でしょうか?
見たかったです。
中学生の頃に見ました。
その数ヵ月後に再放送された時に所々録音したカセットテープ。
今でも持っています。
森山良子さんが歌う主題歌もいいですよね。
気になって森山さんのプロダクションに問い合わせてCDを買った事もあります。二十年近く前の話ですが。
御堂
私自身も実に33年ぶりに拝める映像で、期待に胸膨らませてます。
今でこそ、ビデオやDVDなどの録画機器が揃っていない一般家庭はごく少数派でしょうけど、この当時はそんな事考えもしなかった…
それ故に、セリフ1つ1つ、映像の1シーン1シーンを頭の中に鮮明に記憶させようと、かぶりつきながら視聴していた様子がすごく浮かんできます。
しかも、インパクトがあったドラマだったし、私を“歴史”という道にいざなってくれたドラマなので感慨もひとしお!
そんな当時の事を想い描きつつ、懐かしんで観ようと思います!!
ありがとう
当時はまだ、家にビデオがなかったので・・・
しっかり見ますね!