(トピックス)日本海海戦での戦術はやはり秋山真之のアイデア!―草案の手紙を発見

秋山真之が鈴木貫太郎に宛てた手紙に「第一連繋水雷、第二水雷攻撃」など、4段階の戦法が記されている

明治から大正期の海軍軍人で、司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』の主人公になった秋山真之が、日露戦争中に作戦の草案を記した手紙が発見されました。

手紙の内容は、ロシア旅順艦隊を4段階で攻撃する内容で、後の日本海海戦でバルト海艦隊(バルチック艦隊)を破った戦法「七段構え」(※1)を想起させる感じ―

「七段構え」は連合艦隊参謀だった秋山の立案とされてきましたが、実証できる記録はなく、研究者は「戦略の天才と言われた秋山の頭脳から出た事を示す資料」としています。

当時、駆逐隊司令だった鈴木貫太郎(のち終戦時に首相)に宛てたもので、終戦時、海軍軍令部第一部第一課長の大前敏一が軍施設から持ち帰り、現在、遺族が所有している。

手紙の日付は、連合艦隊が旅順艦隊に大損害を与えた黄海海戦から約2か月後の明治37年(1904)10月31日付。

秋山は、戦力が残っているとみた同艦隊と、極東に向かっていたバルト海艦隊(バルチック艦隊)の合流を恐れ、早急に旅順艦隊を壊滅させる必要があると記し、

第一連繋水雷、第二水雷攻撃、第三艦隊戦門、第四浦汐港外機械水雷ノ四手段ニテ少クモ彼等ノ三分ノ一ヲ片付ケル心算ニ有之候
=第1に縄で繋いだ連係水雷、第2に水雷、第3に艦隊攻撃、第4にウラジオストク港外に機雷を仕掛ける4段戦法で、少なくとも3分の1は片付ける心算つもり
と書かれています。水雷を扱う駆逐隊司令だった鈴木に対し、私案があれば教示願いたいとし、

右四手段ノコトハ当分各司令官ヘハ御洩シ被申間敷候
=四手段については当分、司令官たちには秘密にしてほしい
と締め括っています。

結果的に、この作戦は実行されず、日本海海戦に突入した。

『秋山真之戦術論集』を編集した広島県の呉市海事歴史科学館の戸高一成館長は手紙の内容から「七段構え」秋山のアイデアだった事を裏付けるのでは?と話されています。

この秋山手紙坂の上の雲ミュージアム(愛媛県松山市)の企画展「日露戦争と明治のジャーナリズム2 バルチック艦隊と真之」(~来年2月下旬まで)で展示されています。


※1 七段構え
バルト海艦隊(バルチック艦隊)を迎え撃つため、日本海を済州島(チェジュド)近海からウラジオストク沖までの7海域に分け、駆逐隊や水雷艇隊での奇襲、艦隊の全力攻撃などを交互に行う作戦。最終的には水雷を敷設したウラジオストク港外で全滅を目指した。実際の日本海海戦では、途中で勝負がついている。

◆七段構えの戦法=1隻の軍船もウラジオストク港に入れない周到な迎撃作戦計画
  • 第一段…主力決戦前夜、駆逐艦・水雷艇隊の全力で、敵主力部隊を奇襲雷撃

  • 第二段…わが艦隊の全力をあげて、敵主力部隊を砲雷撃により決戦

  • 第三・四段…昼間決戦のあった夜、再び駆逐隊・水雷艇隊の全力で、敵艦隊を奇襲雷撃

  • 第五・六段…夜明け後、わが艦隊の主力を中心とする兵力で、徹底的に追撃し、砲雷撃により撃滅

  • 第七段…第六段までに残った敵艦を、事前に敷設したウラジオストック港の機雷源に追い込んで撃滅
※(参照)桜井真清著『秋山真之』「活躍編【下】(日本海海戦)「所謂る七段構」より抜粋

バルチック艦隊迎撃に当り、将軍が予ねて練りに練った七段構えの戦法をもってこれに臨んだという事は有名な話である。
然らば七段構えとは何ぞ?
これは大別昼戦夜戦と正攻奇襲を交互に活用するもので、済州島近海から浦塩沖に至る海上を七段に区分し、それぞれの区域に於て最も有効適切なる攻撃法によってこれを撃滅しようというのである。
即ち順序を追うていえば、先づ第一段は我が駆逐隊、水雷艇隊の全力を以て彼我主力艦隊の交戦の前夜に敵艦隊を襲撃せしめ、第二段は右の襲撃を行ったその翌日我艦隊の全力を挙げて敵艦隊に正攻撃を加え、第三段第五段は之に引続き其夜間、我が駆逐隊水雷艇隊の全力を以て再び敵艦隊に対し、奇襲的水雷攻撃を試み第四第六段は更に其翌日我が艦隊の大部分を以て敵の残存部隊を鬱陵島附近及び浦塩港前に追撃し、第七段は先きに浦塩港口に敷設して置いた水雷沈設帯に敵艦隊を追い込むという用意周到の作戦で、雄大かつ緻密なることは古今の海戦を通じて未だその比を見ざる所であった。
しかし実践に臨んで諸般の事情から実際に用いられたのは、僅かに第二段から第四段までであった。何故かというと、戦争の始まったのは昼間であったが為めに、夜戦の目的の第一段は自然省かれ、第五段以下はそれを用いるまでもなく、第四段までに既に敵艦隊は全滅してしまったのでこれ又その必要がなくなったのであった。
随って斯うした実践の上からしても、此の海戦は予想以上の戦果を収めたもので、折角七段まで用意した将軍としては、或いは聊か物足らなかった位のものだったかも知れない。
※(参考)エピソード、参謀「秋山真之」による七段構えの戦法(記念艦「三笠」公式ホームページより)→
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