今度は「熊野詣」―街道てくてく旅 熊野古道をゆく

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NHKで放送される「街道てくてく旅」のシリーズも平成18年(2006)4月から始まって、これまで東海道中山道甲州街道日光奥州街道、四国八十八か所、そして山陽道が踏破されました。

新しいシリーズでは、奈良時代以来、熊野大社への参詣の道として天皇家をはじめ各時代の老若男女が辿った熊野古道(熊野街道)が舞台となる「街道てくてく旅 熊野古道をゆく」というもの―

この熊野古道(熊野街道)は、平成16年(2004)に、「紀伊山地の霊場と参詣道」として、高野山などと共にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました場所です。

今回、この熊野古道(熊野街道)を踏破する旅人は元プロテニスプレーヤーの森上亜希子さん。

そのルートとして、
  • 春編―大阪・八軒家浜(大阪市中央区)から熊野本宮大社まで

  • 秋編―和歌山県田辺市(道分け石)から伊勢神宮まで
の合わせて約650kmの旅が始まります。

放送日時は、

5月10日(月)スタート→6月18日(金):春編ゴール
9月13日(月)スタート→10月29日(金):秋編ゴール

  • 生放送:NHK BS-hi・BS-2 月~金   午前08:00~08:15

  • 再放送:NHK BS-2     月~金   午後07:45~08:00

  • 再放送:NHK BShi     火・木・金 午前00:45~01:00

  •       〃      水     午前01:00~01:15

  •       〃      土     午前01:05~01:20
となっています。個人的な希望としては前回の山陽道同様、まるごと1週間まとめた番組を放送してくれへんやろか?今回はまともに関西圏だけなんやし、期待してまっせ、BKさん!

…と思ってたら、やっぱありましたBKさん、サンクス!

5月31日(月)~6月22日(火)まで、毎日2日間分の旅の歩みをまとめて放送だとか―

また、10月4日(月)~11月2日(火)まで、秋編が春編同様に毎日2日間分の旅の歩みをまとめて放送されまっせ!

時間帯は、NHK総合で午後03:15~03:45、に放送されます。

さらに!―

東海三県(愛知・岐阜・三重県)の皆さんも10月19日(火)~11月5日(金)までの期間に秋編が再放送されるとの事。こちらは毎日3日間分の旅の様子がまとめて放送される模様!

時間帯は、NHK総合で午後03:15~04:00、に放送されます!

― ◇ ◇ ◇ ―

熊野詣とは―

紀伊半島南部、熊野地域にある熊野三山、すなわち熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つの神社を参詣する事です。

熊野という地名の初見は『日本書紀』で、熊野は伊邪那美命(イザナミノミコト)の葬られた土地(→熊野の有馬村=三重県熊野市有馬=の花窟神社)として登場しています。

延喜7年(907)、寛平法皇(宇多法皇)による熊野行幸をきっかけとして以降、熊野は日本国中の人々に知られるようになり、上下貴賤男女を問わず大勢の人々が訪れるようになるのです。

― ◇ ◇ ◇ ―

その広がりの要因の1つに熊野信仰にありました。

平安時代の中頃になると、末法思想の影響からか阿弥陀如来を信心しようとする浄土教信仰が盛んになっていきます。

そもそも、熊野地方は死者の国(死後の世界)に近い場所と考えられていたので、それが浄土教信仰と絡み合う事で、熊野、イコール死者の国、すなわち浄土と結び付けられるようになります。

本宮は阿弥陀如来の西方極楽浄土として来世の救済を、新宮は薬師如来の東方浄瑠璃浄土として過去世の罪悪の除去を、那智は千手観音の南方補陀落(ふだらく)浄土の地として現世の利益を叶えてくれる場と考えられ、それらが一体化して、熊野三山、あるいは熊野三所権現(さんしょごんげん)と呼ばれるようになります。

とくに本宮は阿弥陀如来の極楽浄土の場として、本宮に参詣すれば必ず極楽往生を遂げられるとされていたのです。

それが最も頻繁化したのが院政期で、きっかけは寛治4年(1090)の白河上皇熊野行幸からと云われています。以降、
  • 白河法皇   9回

  • 鳥羽法皇  21回

  • 後白河法皇 34回

  • 後鳥羽上皇 28回


  • 待賢門院(藤原璋子、鳥羽・中宮) 12回

  • 修明門院(藤原重子、後鳥羽・後宮)11回
のように熊野への行幸や御幸が頻繁化し、年中行事と化す程、京都の貴族の間に数多くの熊野詣が行われるようになった事で、熊野は浄土教信仰の日本第一の大霊験所として地位を確立していくのです。

鎌倉期以降、行幸や御幸は数を減らしますが、武家や一般庶民たちによる熊野詣が盛んになっていきます。江戸時代には、熊野付近の旅籠に1日で800人もの宿泊客が記帳されたそうです。

その様子は“蟻の熊野詣”(=蟻が餌と巣の間を行列を作って行き来する様)と喩えられる位、大勢の人々の群れが列をなして熊野を詣でたのです。

― ◇ ◇ ◇ ―

こうした、広がりのもう1つの要因として、熊野詣は女性への参詣を認めていたんですよね。

上記の女院やそれに付き従う女官たちもそうですが、記録では北条政子が参詣した史実も見受けられます。

これは特筆すべき事で、同じ山岳宗教の中心地である、お隣の高野山では女性の参詣を全く禁じているのに対し、熊野では禁じないどころか積極的に受け容れていたのです。

しかも熊野は、不浄とされる血の穢れ(例えば女性の生理)にさえも寛容な態度で対応していたとか―

― ◇ ◇ ◇ ―

平成16年(2004)に世界遺産(文化遺産)として指定されて以降、観光地として有名となった熊野古道(街道)ですが、問題点がない事もないのが現状!

そもそも明治維新後、廃仏毀釈神仏分離令などにより熊野古道(街道)周辺の神社の数は激減。熊野古道(街道)沿いも、国道が整備されるまで、周辺住民の生活道路として使用され続けました。

世界遺産(文化遺産)への登録の際も、周辺住民の合意を決して得た訳ではないのです。普段から生活に欠かせない場所が世界遺産(文化遺産)になったからといって、いきなり立ち入り禁止になってしまった住民の気持ちを考えた事があるのでしょうか?

世界史の舞台に例えて言えば、第二次世界大戦後、イギリスとの約束と取り付けていたユダヤ民族はアラブ・パレスチナ地域に建国しました。

その地は何千年もの昔、エルサレム王国としてユダヤ民族の住んでいた地域でもあったのです。しかし、王国は征服され、ユダヤ民族たちはその土地から強制移住させられます。

その後、その土地にはアラブ民族が住み着きます。

現にその土地に住民が居るのにも関わらず、大国のエゴでアラブ民族たちは土地を奪い盗られたのです―

確かに、残すべき文化遺産としては疑う事のない見識ですが、その場所に生活空間の一部として暮らしておられる方々の気持ちを考えるといたたまれない感じですね。

この点、歴史に携わる者の二律背反するところです。

― ◇ ◇ ◇ ―

さて、和歌山県那智勝浦町では毎年秋、10月末の日曜(今年は10月24日)に「あげいん熊野詣」という催しがあるんですよ。

一般の女性の参加型で皆それぞれが平安期の時代装束を着て御幸行列を再現する―というもの。

詳しいお問い合わせは、那智勝浦観光協会観光産業課まで。

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NHKのてくてくのブログにTBしたら、断られました!何か不適切な表現があったのかな、わからん?

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「街道てくてく旅 熊野古道をゆく」も10月29日をもって無事にゴールとなる伊勢神宮の内宮に到着しましたね。森上さん、お疲れさまです!

ところが―

放送終了後、午後9時かたNHK-BS2で「街道てくてく旅 熊野古道をゆく」達成スペシャルという番組が東京のスタジオから放送されましたが…

すごく、おかしな感じですよね。何で東京からなのか?…

少なくとも、今回は大阪から始まり、和歌山、三重と続く、いわば関西圏だけのお楽しみ企画!

それなのにどうして何ら関係もない東京のスタジオなのか?

寧ろ、それやったらBK(大阪)のスタジオで放送するのが常識じゃないのかなぁーと一気に醒めた雰囲気になってしまいました。

朝の連続テレビ小説でも同じ事が言えるけど、例えば今現在は「てっぱん」が放送されています。舞台は尾道から大阪に続くストーリーです。

この場合、はっきり言って、尾道の人と関西の人だけが楽しめば良い訳で、視聴率にせよ、尾道と関西の数字だけ良ければ、他の地域の数字なんてどうでもいいと思うんですよね。

当事者さえ楽しめれば、他の人は蚊帳の外に置いておけばいい!と改めて感じる思いです…

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※(参照)「街道てくてく旅~中山道完全踏破」→

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